ゴダールからフランス語を学ぶ。その3

3回目の授業も引き続きゴダール『勝手にしやがれ』(à bout de souffle)からフランス語を学びました。

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ミシェルは容疑者になった。
捜査の手はパトリシアにも。ヴィタル刑事がパトリシアのもとへ。
(「どこの事務所でも同じ電話のベルを鳴らすよねー」と先生。)
白を切るパトリシア。

と、ここで気にも留めていなかった表現をひとつ。

Vital:Vous ne tenez pas à avoir des ennuis avec votre passeport?
Patricia:No, je n’y tiens pas.

Je ne tiens pas à… = Je n’ai pas vraiment envie de…
(ちなみに、パトリシアはフランス語は喋れるけどここでの会話のすべてにおいて「Non」でなく「No」と言っています)

ヴィタル刑事は連絡先をパトリシアに渡し、去っていきます。
通りの向かい側にはミシェル。
刑事が尾行していることを「faire la signe de la main」(手で合図する)パトリシア。
パトリシア、刑事、ミシェルと「égale distance」(同じ距離)でシャンゼリゼ通りを歩く絵はちょっと滑稽。
ちょうどこの日はle quatorze juillet(7月14日・フランス革命記念日)。パレードがシャンゼリゼ通りではパレードが。
上からパレードを映すシーンがありますが、カイエ・デュ・シネマの事務所から撮ったそうです。
それと同時に、このパレードを映すことは「rapprochement franco-américain」(仏米親交)を表現しているそうで、フランス人・ミシェルとアメリカ人・パトリシアの交際も表しているんですって。ほー!

パトリシアは映画館に逃げ込み、トイレの窓から脱出することで無事に刑事をまきます。これは「Le cinéma sauve la vie」(映画は人生を救う)ということも意味しているんですって。ほー!

・・・

パトリシアとミシェル、二人で車に乗るシーン。

Patricia:Tu es marié.
Michel:Montre… Oui, il y a longtemps… avec une fille cinglée. Elle m’a plaqué. Ou moi, je l’ai plaquée… je m’en souviens plus.

ミシェルの新聞記事で、彼が既婚だった事実を初めて知りショックを受けるパトリシア。cinglée=foule。この作品は様々な「馬鹿な」「気狂い」って表現を使っていて、他にも「con」や「dingue」など。

・・・

そして舞台はrue Campagne-Premièreへ。

ミシェルとパトリシアは、友人のアトリエで一晩を過ごすことに。
最後の夜、ミシェルはモーリス・サックスの「Abracadabra」という本を読んでいますが、これはLénine「Nous sommes tous des morts en permission」の引用。
BGMはモーツァルトのクラリネット協奏曲。
死が近づいていることを予感させる演出。

♪パ・トリシア
♪ケ・スキリヤ
とかわいい掛け合いの後、悲しい結末。

・・・

ラストシーン。

Michel:C’est vraiment dégueulasse.
Patricia:Qu’est-ce qu’il a dit?
Vital:Il a dit: vous êtes vraiment une dégueulasse.
Patricia:Qu’est-ce que c’est: dégueulasse?

カメラを見つめながら放つ最後の台詞がずっと後を引くラストシーン。
『大人は判ってくれない』のラストを連想させるけど、こちらは何度見てもゾッとします。

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何度も見てきた作品なのに、こうして授業で学ぶことで新発見がたくさん。
ところどころ端折っての説明だったけど、きっとまだまだトリビアが隠されてるんだろうなー。

では今日のおさらいはここまでー
次回は、BB主演の『軽蔑』そして『はなればなれに』です!

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